ATライカ「手をつなぐ」

息が白くなり始めた下校道は、ブレザーにコートを着込んでもまだ寒い。
「寒いねぇ」
隣を歩く親友が両手に息を吹きかけながら言い、私は「うん」と相槌をうつ。上着の下の、指先まで隠してくれる少し大きめのセーターの袖を人差し指と親指でいじりながら、彼女の手が少し赤くなっているのを見る。
「手袋持ってくればよかったね」
と思ったように言うと、彼女は首を少し振る。
「手袋は、いいや」
「どうして?」
疑問に思い彼女を見ると少し顔を赤らめていて。そしたらちょっとうつむいて、肩同士が触れ合うまで近づいてきた。そして、手首のあたりですこし触れられる感覚。 
「くすぐったいよ」
コートの袖がゆらゆら揺らされていると思ったら、セーターがくいくいと上に引っ張られ。私の手の甲を彼女の指がすっと下に撫でていって、やがて小指を絡められた。
「こういうこと」
とだけ言って、彼女はそっぽを向いてしまう。
冷たいけれど温度のある指のくすぐったさが、ゆっくりと私の心に移り、ほのかに顔が熱くなる。
そうやって、二人で歩き続けてしばらく。いや、もしかしたら全然時間は経っていなかったのかもしれないけれど、私は自分の小指と彼女の人差し指だけをつなぐむず痒さに耐えられなくなってしまった。
そして、
「ねぇ、それじゃまだ寒いんじゃない?」
と、言ってしまう。それに彼女は、顔をさらに赤くさせながら深く頷く。
私はゆっくりと小指を放し、彼女の他の指を探す。彼女と私の、宙をさまよわせる指同士が擦れてこそばゆく。やがてすべての指を絡ませて手を握ると、彼女の手は私のよりほんのちょっとだけ小さいことに気が付いた。
「……あったかいね」
私が呟けば、
「うん」
と彼女が頷いた。

参考 ATライカ作者pixiv
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