ヘタノヨコヅキ「聞き分けのいい後輩」

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「サヨナラしましょう」


高校の卒業式。
先輩は私に、そう言った。


「女の子同士なんて、ヤッパリ変よ。だから、今日で終わりにしましょう」
「……そう、ですか……」


高校指定のリボンを外して、先輩は私に渡す。
先輩にはもう、そのリボンが必要ない。
そして、先輩が私にそれを渡すのは……私も、リボンと同じだからだ。

――私にリボンを渡せば……まとめて、捨てられるから。


「今まで、付き合わせてごめんなさい」
「いいえ、先輩。私のことは、気にしないでください」


生徒会長だった先輩に、憧れた。
だから私は追いかけて、先輩のいる生徒会に入って……隣に並ぶことを、許されたのに。


「貴女は本当に……聞き分けのいい後輩だったわ」


先輩からもらったリボンを、私はしっかりと握りしめた。


「だから、好きだったの」


先輩が呟く過去形の言葉に、思考が焼かれる。
先輩が私の頬に添えた手が冷たくて、言葉がもつれた。


「今まで、ありがとう」


唇が、重なる。

――別れたくないです。

――女の子同士が変だなんて、言わないでください。

私の言いたい言葉を、先輩は全部……飲み込ませた。
結局私は、文句を言えない。
不満なんて、言えるはずもなかった。


「サヨナラ」


先輩が好きになってくれた私は、聞き分けのいい私だったから。


「はい、先輩。さようなら。……お元気で」


笑顔を向けてくれる先輩に、私も笑顔を返す。
どれだけ聞き分けのいい後輩でいても。
私はもう、先輩には愛してもらえないのに。

作家コメント
こんな青春と自分は無縁でした……!
参考 ヘタノヨコヅキ作者Twitter
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