ATライカ「両想い」

秋の少し冷たい風が大きなカーテンを揺らしながら、放課後の教室に夕焼けとともに入ってくる。世界はオレンジ色に染まっていて、この瞬間が私はとても好き。
私は窓際の机に座って、外を眺めながら人を待っていた。待ち人は女の子。小さくて、おっちょこちょいで、元気で、とても可愛い人。
そして、私に恋をしていて、私が恋をしている人。
でも彼女は察しが悪いので、自分は片思いだと思い込んでる。両思いだと気付いている私は、いつ告白してくるか毎日待っていたけれど、それは今日だったらしい。
私は好きな人からの告白ということもあって、柄にもなく待ち合わせの時間より随分早く来てしまっていて。毎日告白を待っていられたのにこの時間はとても長く胸が張り裂けそうで、それでいて期待と幸福感で心がほのかに暖かった。
待ち合わせの時間になろうとする頃、教室の外から小さな声が聞こえてきた。それは彼女の声で、途切れ途切れだけど多分、今からする告白の練習をしているようだった。そういうところが好きなんだよ。
「待たせちゃった?」
「ちょっとだけね」
扉を開けて、不安げな表情で私の前まで歩いてくる彼女は、夕日に照らされてどこか大人びえて見えた。そして、私の前に立てば、ゆっくりと深呼吸をして本番を始める。
「私は、あなたのことが、好きです。格好いいところとか、頭の良いところとか、ちょっと意地悪だけど優しいところが、大好き!」
緊張からか声を震わせて、目を潤ませながら彼女が告白する。
「私と恋人になってください!」
私をまっすぐ見据えて言い切る彼女はとても美しい。私はこの人に恋をしてよかったと、素直にそう思えるほどには。
自然と、私は彼女の顔に手をやって、小さい唇を親指でなぞる。
「片想いだと思った?」
そして、戸惑う彼女に唇を合わせた。
「両想いだよ」
唇を少し離して驚きで固まる彼女にそう言って、その意味を理解して顔を太陽よりも赤くした所でもう一度、キスをする。
「私も、大好きだよ」

参考 ATライカ作者pixiv
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