山口要「双子の姉」

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「もう!お姉ちゃんネクタイちゃんとしめて」
「むー・・・ううん」

中学2年生になったばかりの双子の姉、文月はマイペースでのんびり屋。双子の妹、五月はしっかり者で几帳面な性格だった。
2人はいつも一緒で半月が重なり満月になるように支えあっていた。

「お姉ちゃんは私がいないとダメなんだから」

口癖のように五月はそういったがその口元には笑みが浮かんでいた。五月は姉の世話をするのが好きだった。大好きな姉の髪をとかすのも、ネクタイをしめてあげるのも、手を繋いで一緒に学校に行くのも好きだった。

「五月ちゃん大好き」

文月は口癖のようにそういって五月にくっついていた。

「もう、あついよ」

そういって困ったように笑う五月だったが、内心は嬉しかった。
運動も勉強もできない文月を、五月は毎日お世話した。勉強を教え、運動も一緒に走った。
でも、文月はある日絵のコンクールで大賞をとった。市長に表彰され、絵は学校に飾られ、その美しい海の絵に全校生徒が魅せられた。

「凄いよ、文月ちゃん」
「うますぎてびっくりした!」

文月は、クラスの仲間に囲まれて沢山褒められた。だが、文月の表情は曇っていた。
五月は、文月が囲まれているのを見て今日は文月の机に行かず、教室を出ていってしまった。文月は、五月に凄いねって言って欲しかったのだ。

「五月ちゃん」
すぐに五月は見つかった。
双子だから、お互いが惹かれあうように磁石のように、居場所がわかる。

「ごめん、あの、私」

振り返った五月は、顔を真っ赤にして文月に飛びついた。

「ばかぁ・・・」
「だって、大好きすぎて思わず描いちゃった」

タイトル『大好きな人』
最近家族で行った海が美しく描かれ、更にその中央には白いワンピースを着た五月が微笑んでいた。

作家コメント
双子の姉妹の百合を書いてみたかったので
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