ATライカ「甘いケーキ」

「痛っ」
突然、テーブルを挟んで向こう側の親友が頬をさすりながら声を上げる。私が作ったケーキを食べている最中の出来事だったので、すわ私のせいを疑ってしまう。
「もしかして、卵の殻とか入ってた?」
そう聞けば、彼女は首を振る。
「歯が痛い」
ん?と私が首を傾げれば、彼女はケーキをフォークでつつきながら
「虫歯ができたっぽい」
と言いだして。私は呆れて自然とため息が出てしまった。
「ちゃんと歯磨きなよ。子供じゃあるまいし」
ケーキを口に含みながら言うと、彼女は虫歯がある方らしい頬を膨らませながら
「毎回お菓子作ってくる君が原因なんじゃ?」
と冗談を仰る。でも虫歯は自業自得として、確かに、彼女の家に遊びに行く度に私がお菓子を焼いて持って行くからか、最近彼女はどことなくふくよかになった気もする。
「じゃあ、もうなんにも作ってあげなーい」
そう言いながら彼女のケーキの皿を掴んでこちらに引き寄せれば、ケーキをつつこうとしたフォークが空を切り、彼女が悲しげな顔をこちらに向ける。
「いけずぅ」
こうなることは分かっているのになぜ彼女が下手な冗談を言うのか、長い付き合いでもよくわからない。そこが可愛いからいいんだけど。
「何か言うことは?」
「ごめんね。大好きだから、また次も作ってきてね」
上目使いで、フォークの先を唇に当てながら言う彼女は、私のツボをとても良く心得ている。私は直ぐに降参をして、彼女にケーキを返す。
「はいはい、次はクッキーでも焼いてくるよ」
「やった!大好き!」
笑顔でそう言う彼女が、何が大好きなのかはっきりと言ってくれないことは少し残念だけど、まあ、色々甘い位がちょうどいいのだ。

参考 ATライカ作者pixiv
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