山口要「私は今、大変なことをしています」

2

私は、今大変なことをしています。
魔が差したの、でもゆるしてください。
私のすぐ目の前では、大好きなアイドルの一花ちゃんが綺麗な顔で寝息をたてています。あぁ、近い、かわいい、しかも一花ちゃんのいい匂いがする。凄くいい匂い、ずっとここにいたい。

修学旅行、それは大好きな女の子と急接近できるチャンス。
一花ちゃんは、女子高生アイドルでアイドルユニット『FLOWER』でリーダーを担当している。
私は、FLOWERのメンバーがまだ中学生だった頃からのファン。結成してまだ半年も経ってないくらいだったみたい。
たまたま噴水広場で本を読んでいたら明るい歌が聞こえてきて、見に行ったらそこで歌っていたのがFLOWERだった。センターで歌っている凄く可愛い女の子。
黒髪ショートカットで、目が大きくてまつげが長くて口元にほくろのある一花ちゃんは、一瞬で私の心を掴んだ。
ダンスも歌も、メンバーの中で一番輝いていたと思う。私は、それから彼女を追ってライブや握手会や、ビラ配りをしている一花ちゃんを見に行った。
同い年なのに、本当にしっかりしていてカッコいい。一花ちゃんは、普段クールな印象だけど、人一番頑張り屋で、学校帰りに1人でカラオケに通っている。

FLOWERは、高校生になってからかなり人気が出てきて一花ちゃんはたまにしか学校に来ないけど、成績はいいからアイドルと勉強ちゃんと両立しているんだと思う。

すごいなあ。

そんな推しの布団にもぐりこんでしまった私は本当に大罪人です。すみません神様。
一花ちゃんはクラスで一線引いたところにいて、学校に来てもいつも1人で行動している。私は、話しかける勇気がなくて、恥ずかしくて、朝小さい声で挨拶するのが精一杯。

「すき・・・です」

寝ている一花ちゃんに私はずっと言いたかった想いを伝えた。握手会では、私がいつもテンパっちゃって伝えられないから。

その途端、一花ちゃんの目がゆっくり開いて私は声にならない声をあげた。

「いつもありがと」

作家コメント
憧れの相手が実は自分を見てくれていた、というシチュが好きです
この作品が気に入ったら、ギフトを贈ってみませんか?15円~贈れます❤
2

コメントを残す