織本コウ「ごめんね」

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あなたからの電話に緊張した。
声が上擦ってないか、ちゃんと話せているよね?
頭が回らない中で必死に言葉を紡ごうと藻掻くけど出てくるのは当たり障りのない単語ばかり。
電話越しに震えるあなたの声に「うん」「うん」としか返せないもどかしさ。
頭に浮かぶのはもっと気の利いた事を言えたらいいのに。
あなたの気に障らない言葉を紡げているかな?
無意識に重荷のある発言をしていないかな?
いつしか考えているのはあなたの事のようで自分の事。
嫌になる。けどあなたはそんな事思っていないだろうね。
ぽっかりと胸に穴が空いた感覚というのはこういう事を言うのだろうね。
口下手な私は「死なないでね」と言えなかった。
悪い癖だ。どうしてもネガティブ思想に囚われてしまう。
あなたはまた私達に会いたいと言ってくれた。
その言葉を信じ切れず、そう思ってしまう私の心は何色だろうか。
別れの挨拶も結局気の利いた事を言えなかった。
気が付けば二十分ほど放心していた。
こうして言葉を書くのと言うのでは天と地の差があると私は思う。
けれどね。言わなきゃ伝わらない事もあるんだって分かってる。
あぁ、なんてめんどくさい性格をしているんだろう。

作家コメント
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