山口要「ピーチとリリィ」

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「転校生の新藤桃、クラスメイトとも話すことなく一番後ろの席で何をしているのかと思ったら、漫画を描いていましたわ」
「柴咲原女学院の生徒としての自覚が足りないのかしら、漫画なんて低俗な」

日本でも有数のお嬢様学校。柴咲原女学院に最近転校してきた転校生。
新藤桃は、クラスのお嬢様たちと話すことなく、むしろ距離をとりただ1人休み時間は机に向かって漫画を描いている。
柴咲原女学院の生徒は幼少の時からピアノやテーブルマナーなど立派なレディになる為の教育を受けてきたお嬢様。休み時間に1人で漫画を描いている桃の行動が理解できなかった。

「ですわよね、ユリカ様?」
「え、えぇ」

柴咲原ユリカは、柴咲原女学院学園町の娘。2年生にして生徒会長を務める生徒の憧れの的。金髪のふわりと巻いたロングヘアーが美しい学園の有名人だ。
ユリカは、他の話題にうつった後も桃のことをちらちらと見ていた。

放課後、ユリカは生徒会が終わると教室へ早足で向かった。

「お待たせしましたわ、もも先生」
「先生はやめてって」

桃1人の教室。笑顔満開で入ってきたユリカは、桃の隣の席にいそいそと座ると、

「お続きを読ませてくださいまし!ユリカは今日続きが気になって生徒会の会議の内容が全く入ってきませんでしたわ」
「それはまずいでしょ」

くねくねしながら話すユリカに桃は今日書いた分を手渡した。

「わはっ、うふふ」

転校日初日、漫画を描いているのを見つめたユリカは、放課後桃をストーキングし漫画を見せてほしいと頼んだのである。桃が書いているのは甘々恋愛ファンタジー。ピーチというペンネームで連載している桃は、休み時間にネームをノートに書いているのである。

「ユリカ、ずっと漫画なるものを読んでみたかったんですの」

最初は驚いた桃だが、自分が書いたネームを編集より先に読んで顔を真っ赤にして感想をくれるユリカが可愛くて、それからは丁寧にネームを書くようにしている。

作家コメント
お嬢様百合が大好きです
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