ATライカ「告白」

告白するんだ。そう心を決めて親友を夏祭りに誘ったのはいいけれど、日が暮れて、最後の花火の時間になっても私はまだ何も言い出せていなかった。
これじゃあ、ただ遊んでるだけじゃないか。
意気地なしな自分をそう責めながら、花火が良く見える高台に向かう。前を歩く浴衣を着た想い人は、時折汗で張り付いた後ろ襟を手で拭う。その時に見える、私より高い所にあるうなじがとても扇情的で、それをじっと見てしまえば、心と体を締め付ける緊張が増えていく気がした。
時間をかけても言えてない。きっと、花火の最中も言えない気がする。じゃあ、終わった後は?
そんな堂々巡りで自分が嫌になりはじめた頃、ついに河川敷を見下ろす誰もいない高台についてしまった。多分、花火が始まるまで数分もない。
花火までに言えなきゃ、諦める。
私はここにきて、初めて決断した。どういう風に告白するかのイメージなんかない。でも、この決意も守れないようじゃ、彼女に告白する資格はないと思った。
「ねえ」
声をかければ振り向いて、どうしたの?という顔で私を見つめてくる。
「えっと……」
その顔を見て、口をもごもごとさせて、彼女の視線から逃げるように地面に目を落とす。
駄目だ。これは、駄目だ。駄目な癖が出てる。
いつもそうだ。何を言うにしても、直ぐに逃げるように俯く。そして、その度に彼女は私を覗き込んで、ゆっくりと私の言いたいことを聞いてくれる。確かに好きになったのは、そういう所。
でも、今はそれじゃダメなんだ。
「どうし――」
「言う。ちゃんと自分で言うから。待って」
私は覗き込んで来ようとする彼女の頬を両手で止める。しばらくそうして何もできずにいると、遠くからアナウンスが聞こえ始めた。
でも、言いたいことはまだ定まらない。
「言えない。言えないから、する。嫌だったらビンタして」
言葉では告白できない。だったら、行為で示す。
背伸びして、見上げるようにキスをする。
花火の音と光。そして、彼女の暖かい手が、私を包んだ。

参考 作者pixivATライカ

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