樫間島詞花「照れんで教えてください!!」

ベンチに座って空を見上げ、ため息をつく。
小さい頃テレビで見たマジシャンに憧れ、ずっと夢を追い続けた。結果、大抵の手品はできるようになり、向上心もとうに失ってしまった。
手遊びにトランプを消したり出したりする。といっても見えないように隠して出してるだけだ。
自然と苦笑が漏れる。下らない。
「あの! 今のどうやったんですか……?」
いつの間にか目の前に中学生くらいの女の子が目をキラキラさせながら私をじっと見つめていた。うわあ、美少女だ。
「今のマジックですよね。良ければ見せてもらえませんか……?」
かつての私を見ているみたいで、せめて今だけはと精一杯胸を張る。
少女に一枚のトランプを確認させる。そのうちに同じ柄のトランプを五枚隠し持っておく。反対の手で受け取り、くしゃくしゃに潰す。潰したのを両手で握って息を吹き、潰した方を隠しながら五枚の方を開いてみせる。
「え、なんで?! 本当にマジック? どうやって?!」
少女は大はしゃぎだ。こんな手品でも喜んでくれるんだ。なんか、嬉しいな。
「照れないで教えてくださいよお!」
照れてるわけじゃないんだけども。まあ、黙っとくのがマナーだ。
少女は興奮したまま私の手を握ってきた。
「あの! 私のも見てもらっていいですか!」
「できるの?」
「まだまだ見習いなんですけど……」
少女は人差し指を立て、真剣な表情でじっと見つめる。
突然人差し指から小さな火が上がった。フラッシュコットン等を隠し持っていた様子はなかった。全然ネタが分からない、どうやったんだろう。
「……すごい」
「そ、そんなことないですよ……」
少女は照れながら笑った。この子やり手だ。なんか、負けてられないな。この子の前では憧れでいたい。
「ありがとう。私も頑張ろうって思えた」
「あ、わ、私もあなたに追いつけるように頑張ります!」
少女の頭を撫で、公園を早足で出る。向上心がないとか言ってられない。

「行っちゃった……」
あの女の人かっこよかったな。しかしどうやったんだろう。魔力反応が全く見られなかった。マジックを使えば普通出るはずなのに……。きっと超凄腕の魔術師だ。私もいつかあの人みたいになれるかな。

参考 樫間島詞花作者pixiv
作家コメント
おねロリはいいぞ……

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