覚醒カレー粉「終わりと始まり」

あんな女に私が負けるわけがない! 私は心の中が怒り、妬み、憎しみ等のありとあらゆるマイナス感情に支配されている。なぜなら、あいつは私の大事な大事な幼なじみを盗んでいったのだ。

 

 あれは高校に入学してしばらくした頃だった。私と香奈は幼稚園からの幼なじみで寝る時と部活の時間以外はいつも一緒にいた。今は横にいないのがすごく寂しい。そう、私が香奈をあいつに取られたのは部活の時だった。

 

 今は一緒の部活に入っておけばよかったと後悔している。香奈は陸上部に所属していて、その中でもトップクラスに速い。私は試合がある度に応援に駆けつけた。香奈は昔から走るのがすごく速くて、常に私の――いやみんなのヒーローだ。ポニーテールを揺らしながら走るその姿は力強さと可愛さを兼ね備えてみんなの心を魅了した。

 

 しかし、私はみんなの知らない香奈を私は知っている。お化けに怖がる香奈、片付けができない香奈、ピーマンが食べられない香奈、おっちょこちょいな香奈、雷に怖がる香奈、試合後にパンケーキを頬張る香奈、私に頼り切りな香奈etc。みんなは陸上の時のかっこいい香奈しか知らないだろうけれど、私は香奈のことを何でも知っている。

 

 しかし、しかし、しかし、しかし、あんな奴と香奈はキスをしている所を私は見てしまったのだ。たしかに香奈を奪ったあいつはショートカットのかっこよさと可愛さが共存しているような、少年誌の表紙を飾っていてもおかしくないような奴だ。しかし、だからといってなんであいつが私を追い越してしまったのだろう。私は知らない。香奈の味を私の舌は知らない。あいつより、私の方が香奈のことは知っているだろう。しかし、その一つを私は知らないし、その一つがなによりも香奈の恋人であることの証しなのだろう。次こそ勝ってやる。

 

 ではまた来世で。

参考 覚醒カレー粉作者Twitter

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