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雨に降られて、私と友達は家に駆けこんだ。
「にゃーん、濡れ鼠だぁ」
彼女がそう言いながら玄関先で、制服の裾を絞る。私は彼女の、少したくし上げられた裾の隙間から見えてしまったお腹から目をさっとそむける。片思い中の私にはとても目に毒だ。
「タオル取ってくるよ」
私は目のやり場に困る空間から言い訳を残して抜けだす。
そして、タオルを取るついでにお風呂のスイッチを押して玄関へと戻ると、そこにはもはや上の制服を脱いで下着姿の彼女が立っていた。
「何て格好してんのよ!!」
私は彼女の顔に向かって叫びながらタオルを投げつけると、彼女は少しムッとした顔をする。こっちの気を知らない方が悪いとちょっと睨み返すと、彼女はため息をついて軽く体を拭いてから、靴を脱いで家に上がる。
「もうシャワー浴びる」
「お先にどうぞ」
すれ違う時に目を瞑りながら廊下の脇に避ける。だが、彼女はそこで立ち止まり顔を私に近づけてくる。雨に濡れ、額に張り付いた髪の毛が艶めかしく、私は思わず顔が熱くなってしまう。
「え~?一緒に入らないの?」
「入らない!!」
そんなことを言われ思わず大声を出してしまった私に、ハトが豆鉄砲をくらったような表情を彼女はする。だが、私は謝らない。
押し黙る私に彼女はふんと鼻を鳴らして、お風呂場へと向かっていった。
こっちの気も知らないで!!と彼女のその綺麗な背中を眺めた。
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