ATライカ「弱い女」

 今日は親友の結婚式。
「ありがとう。私たちはいつまでも親友だよ」
 そう言ったのは目をはらした美しい花嫁。そう言われて泣いたのは私の想い人。
 いつも一緒だった三人の内、花嫁だけが別の人を好きになった。不幸だったのはそれだけで、幸福になったのもそれだけだった。
「幸せになってね」
 一人は気持ちを最後まで隠し、涙だけを見せ。
「うん。幸せになる」
 一人は気持ちを伝えて、涙を見せ。
 私はただ、笑顔を見せた。
 
 結婚式の後、私は想い人を家に呼んだ。建前は彼女を慰めるために。そして、悲しみに身を焦がす彼女に言葉を投げかけ続けた。傷をいやすように片思いを薄れさせるための言葉を、私のことを気にかけてくれるようになる言葉を。
「大丈夫。きっといい思い出になる」
 私は悪い女。弱っている彼女につけこもうとしている。
 私は弱い女。こうでもしなければ彼女に踏み込むことができない。
「ごめんね。ありがとう」
 彼女が震える声でそう言って、
「ううん。いいの」
 私は隠した手を震わせてそう言った。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA