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ATライカ「星に願いを」

天かける星、太陽のある空をゆく流れ星、世界を終わらせる凶星。それらを見た私はそうしても綺麗に思えた。
 つい六時間前に発表された終末に未だに実感がないからかもしれない。
「なんですか先輩?」
 私が今立っているのは、呼びつけた彼女の家の近くにある公園の滑り台だった。私たち二人のほかに人はいない。世界は存外静まり返っていた、もう世界が終わってしまったかのように。
「愛の告白しようと思って」
 私は滑り台を子供の頃のように駆けおりる。彼女はそんな私を見て呆れたため息交じりに「昔みたいに怪我しないでくださいね」と言う。
 私はしっかりと地に足をつけ、彼女の前に立つ。そして言いたいことを言う。
「じゃあ、改めまして。私、君のことが好き。大好き」
「知ってます。私も好きですよ」
 彼女のその言葉に、頬がにやける。彼女もそうで、私たちは二人で空を見上げる。相変わらずいくつもの星が尾を引いて落ちていく。
「流れ星、綺麗だよね」
「憎いほどに綺麗ですね」
「でもほら、願い事し放題だと思わない?」
「……そうですね。何をお願いするんです?」
 私は流れ星を見て少し考え、こちらを見ている彼女を見てまた少し考えた。
「特に、無いかな」
「そうですか」
 世界が終わるとしても、今が大事な気がした。
「いや、一つだけ」
「なんですか?」
「ちょっと、ちょっとだけお喋りしよう」
「そう……ですね。いっぱい喋りましょう」

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